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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

放した鷹はまたそれかかる。すこしも油断がならん。

「そんな事が男の前で云えれば、もう年寄のうちですよ」と、やっと引き戻した。

「そう云うあなたも随分の御年じゃあ、ありませんか。そんなに年をとっても、やっぱり、惚れたの、腫れたの、にきびが出来たのってえ事が面白いんですか」

「ええ、面白いんです、死ぬまで面白いんです」

「おやそう。それだから画工なんぞになれるんですね」

「全くです。画工だから、小説なんか初からしまいまで読む必要はないんです。けれども、どこを読んでも面白いのです。あなたと話をするのも面白い。ここへ逗留しているうちは毎日話をしたいくらいです。何ならあなたに惚れ込んでもいい。そうなるとなお面白い。しかしいくら惚れてもあなたと夫婦になる必要はないんです。惚れて夫婦になる必要があるうちは、小説を初からしまいまで読む必要があるんです」

「すると不人情な惚れ方をするのが画工なんですね」

「不人情じゃありません。非人情な惚れ方をするんです。小説も非人情で読むから、筋なんかどうでもいいんです。こうして、御籤を引くように、ぱっと開けて、開いた所を、漫然と読んでるのが面白いんです」