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とらがり
虎狩
「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,260 字 · 48 页
ものと見える。ひょいと何か高い声を聞いたように思って、眼を覚ましたのは、それから二三時間もたった後だろうか。その途端に私は何かしら悪いことが起ったような感じがして、じっと聞耳を立てると、テントの外から、又、妙に疳高い声が響いて来た。その声がどうやら趙大煥らしいのだ。私ははっと思って、宵に自分の隣に寐ていた彼の姿をもとめた。趙はそこにいなかった。恐らくは歩哨の時間が来たので外へ出ているのだろう。が、あの、妙におびやかされた声は? と、その時、今度はハッキリと顫えを帯びた彼の声が布一枚隔てた外から聞えてきた。
――そんなに悪いとは思わんです。
――なに? 悪いと思わん?――と今度は別の太い声がのしかかるように響いた。
――生意気だぞ。貴様!
それと共に、明らかにピシャリと平手打の音が、そして次に銃が砂の上に倒れるらしい音と、更にまた激しく身体を突いたような鈍い音が二三度、それに続いて聞えた。私は咄嗟に凡てを諒解した。私には悪い予感があったのだ。ふだんから憎まれている趙のことではあり、それに昼間のような出来事があったりしたので、或いは今夜のような機会にやられるのではないかと、宵の中から私はそんな気がしていた。