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じゃせいのしゅうねん
蛇性の執念
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,981 字 · 38 页
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それに周囲は厚い壁で仕切られているし、話声の外部へもれる恐れもない。お梶さんはやっと安心したらしく、
『私も大奥様から秘密を承わって居らなかったら、これほどまでに叔父様を怖れはいたしませんのでございますけれども――』
と云ってお梶さんは男爵夫人の自白の一部を打ち明けました。
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それによると夫人は娘盛りの時、同時に文夫さんの父君とその実弟と、二人の熱愛の的であったということでございます。彼女は兄の愛には喜んで報いましたが、弟は大嫌いでした。それは恰度綾子さんの場合によく似ています。
恋に負けた弟は軈て兄に対して兇暴な態度を取るようになり、夫人を脅迫して武雄さんが生れたようなわけで、あの写真もその当時無理に撮ったのだそうですが、夫人は見るのも穢しいと云って、一枚残らずお梶さんと一緒に焼き捨てました。同時に種板をこわしてしまったそうです。(だから、叔父自身の手許にある以外、一枚もこの世に存在しないわけなのです)それから彼は兄を殺害した。そして夫人を自分のものにすると共に、御木井家を横領する慾心を起し、武雄さんのために文夫さんを亡きものにしようと思ったのです。