轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

その警官は、蠅男の手によってこのホテルの帆村の借りている部屋に寝かされていた故玉屋総一郎の一人娘糸子を保護していたのだった。糸子は睡眠薬らしいものを盛られて、トランクのなかからズッと睡りつづけていたのだが、今やっと覚めたものらしい。

帆村はそれを聞くと、すぐに糸子のところへ駈けつけた。

「どうしました、糸子さん」

糸子はベッドに寝たまま、乱れた髪をすんなりとした指さきでかきあげていたが、思いがけない帆村の姿をみてハッとしたらしく、みるみる頬を真赤に染めて、

「まあ帆村さん、うちどないして、こんなところへ来ましたんやろ。ここ、どこですの」

と、床の上に起きあがろうとしたが、呀っと小さい声をたてて、また床の上にたおれた。

「――目がまわって、かなわん」

帆村はつとよって、糸子の腕をとり、そして脈を見た。脈はすこし早かった。

心臓がよわっているようだ。

「糸子さん、静かにしていらっしゃい。こんどはもう大丈夫、十分信頼していい警官の方が保護して下さっていますから、何も考えないで、今夜はここで泊っていらっしゃい。ばあやさんか誰か呼んであげましょうか」

「そんなら、家へ電話かけてお松をよんで頂戴」