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はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

えろう燃やしたもんや。ムンムンするわい」

と、巡査部長はストーブの方に近づいた。

「ほほう、こらおかしい。傍へよると、妙な臭がしよる――」

「えッ。――」

一同は、愕いてストーブの傍に駆けよった。

崩れる白骨

「これ見い。こんなところに、妙な色をした脂みたよなもんが溜っとるわ」

と大川部長は、火かきの先で、火床の前の煉瓦敷きの上に溜っている赤黒いペンキのようなものを突いた。

「何でっしゃろな」

「さあ――こいつが臭うのやぜ」

と云っているとき、巡査部長のうしろから帆村が突然声をかけた。

「これア大変なものが見える。大川さん。火床の中に、人骨らしいものが散らばっていますぜ?」

「ええッ、人骨が――。どこに?」

「ホラ、今燃えている一等大きい石炭の向う側に――。見えるでしょう」

「おお、あれか。なるほど肋骨みたいや。これはえらいこっちゃ。いま出して見まっさ」

さすがは場数を踏んだ巡査部長だけあって、口では愕いても、態度はしっかりしたものだ。腰をかがめると、火掻き棒で、その肋骨らしいものを火のなかから手前へ掻きだした。

「フーン。これはどう見たって、大人の肋骨や。どうも右の第二真肋骨らしいナ」