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はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

「こんなものがあるようでは、もっとその辺に落ちてやしませんか」

「そうやな。こら、えらいこっちゃ。――おお鎖骨があった。まだあるぜ。――」

大川は灰の中から、人骨をいくつも掘りだした。その数は皆で、五つ六つとなった。

「――もう有りまへんな。こうっと、胸の辺の骨ばかりやが、わりあいに数が少いなア」

と、彼は不審の面持で、なにごとかを考えている様子だった。

それにしても人骨である限り、主人の留守になった建物の中のストーブに、こんなものが入っているとは、なんという愕くべきことだろう。一体この骨の主は、何者だろう。

「あのひどい臭気から推して考えると、もっと骨が見つかるはずですね」と帆村が云った。彼は跼んで、しばらくストーブの中をいろいろな角度から覗きこんでいたが、ややあって、ひどく愕いたような声をだした。

「呀ッ。ありましたありました。肋骨が一本、ストーブの煙道のところからブラ下っていますよ。煙道の中が怪しい」

「ナニ煙道の中が……」と、顔色をサッと変えた大川巡査部長は、火掻き棒を右手にグッと握ると、燃えさかる石炭をすこし横に除け、それから下から上に向って火掻き棒をズーッと挿しこみ、力まかせにそこらを掻きまわした。