轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
すると塩田先生が電話口に現われて、
「おおそうか。鴨下ドクトルに、村松も一緒について来たのか。たしかに二人連れなんだネ」
「左様でございます」
とボーイは返事をした。
すると塩田先生は、何思ったか急に言葉を改めて、ボーイに云うには、
「実は、これは客に知れては困るので、君だけが心得て、ソッと知らせて貰いたいんだが……」、と前提して、「その村松という客の前額に、斜めになった一寸ほどの薄い傷痕がついているだろうか。ハイかイイエか、簡単に応えてくれんか」
ボーイはこの奇妙な質問に愕いたが、云われたとおり村松氏の額を見ると、なるほど薄い傷痕が一つついていた。
「ハイ、そのとおりでございます」
「おおそうかい」と、塩田先生は安心したような声を出して、「では丁寧に、こっちへお通ししてくれんか」
二人の客は、そこで帽子とオーバーとを預けて、エレヴェーターの方に歩いていったが、そのときドクトルは横腹をおさえて顔を顰め、ボーイに手洗所の在所を聞いた。
そこでボーイが一隅を指すと、ドクトルは村松氏に先へ行くようにと挨拶して、アタフタと手洗所の中へ入っていった。
ボーイは村松氏だけを案内して、六階にある塩田先生の貸切り室へ連れていった。