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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
(先生、僕を監視するつもりかしら?)
階段を上ると、そこにまた廊下があった。二階はたいへん薄暗い。いつもは電灯がついていたに違いないのだが、スイッチが手近に見あたらない。
右のとっつきに、扉が半びらきになった部屋があった。それを押して入ると、スイッチがすぐ目に映った。ピーンと上にあげてみると、パッと明りがついて、室内の様子がハッキリした。ここはどうやら食堂兼喫煙室らしく、それと思わせるような什器や家具が並んでいた。なんにせよ、どうも豪勢なものである。――若い警官は、相変らず彼の後について、室内へ入ってきた。
(いよいよ監視するつもりと分った!)
彼はちょっと不愉快な気持に襲われた。だが次の瞬間、帆村探偵は不愉快もなにも忘れてしまうような物を発見した。それは安楽椅子の上に放りだされてあった紙装の小函だった。
「おおこれはどうだ。赤バラ印の弾薬函だッ。これを使う銃は、僕の探していたアメリカのギャングが好んで使う軽機関銃じゃないか。これは物騒だぞオ――」と帆村は身ぶるいして、戸口の方をふりかえった。警官は怪訝な顔をして、傍によってきた。このとき廊下を距てた向いの暗い室の扉が、音もなく細目に開いて、その中から一挺の太い銃口がヌッと顔を出した。