轻松读懂日语经典作品
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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
それはええとして、最後に、家が板橋区のどこやらとズバリと云うてだしたのは、これはまたどういう訳だんネ。令嬢を前から知っとってだすのか」
「いえ、さっきこの家で始めて会ったばかりです。だがチャンと分るのです。あのような青いインキで染めたような泥は、板橋区の長崎町の外にないんです。もっと愕かすつもりなら、通った通りの丁目まで云いあてられるんですよ」
「へえ、驚きましたな。しかしまた、あんな青い泥がその長崎町だけにあって、外の土地には無いというのは、ちと特殊すぎますな。長崎町にあったら、その隣り町にもありまっしゃろ。そもそも地質ちゅうもんは――」
「ああ、あなたの地質の造詣の深いのには敬意を表しますが――」
「あれ、まだ地質学について何も喋っていまへんがナ」
「いや喋らんでも僕にはよく分っています。それにこの問題は地質学の力を借りんでもいいのです。つまりちょっと待って下さい、あれは地質上、あんなに青いのではないのですからネ」
「ほほン、地質で青いのかとおもいましたのに、地質以外の性質で青いちゅうのは信じられまへんな」
「いや信じられますよ。あなたはきょう東京から来た東京タイムスの朝刊をお読みになりましたか。