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けつえきがたさつじんじけん

血液型殺人事件

甲賀 三郎

「ぷろふいる」ぷろふいる社、1934(昭和9)年6、7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,256 字 · 71 页

青空文庫

ちぎった写真版

すると一時間に三〇〇立になり、約十立方尺である。仮りに毛沼博士の死が夜中の一時に起ったとしても、噴出時間は最大二時間半で、二十五立方尺である。ガスの一酸化炭素含有量を八%とすると、二千二百立方尺の空気に対し〇・一%以下となる。これが二時間半後に達する最大濃度であるから、ここでは未だ死が起き得ないと断言出来ると思う。尤も博士の絶命時間については未だ正確に分らないから、解剖の結果を待たないと、結論は早計であるかも知れないが、之を見ると、博士の死は変な事になるのだ。

といって、私には博士が他のどんな原因で死んだかという事については、少しも見当がつかない。外傷もなにもなく、明かに一酸化炭素の中毒で死んでいたものなら、ガス中毒と見るより以外にないのだ。

私の頭は又割れるように痛くなって来た。私は鉛筆と紙を抛り出して、畳の上にゴロリと横になった。

ちぎった写真版

翌日学校へ出るのが、何となく後めたいような気持だった。むろん、何にも疾しい事はないのだが、顔を見られるのが不愉快なような気がした。みんなは毛沼博士の死のことを盛に噂し合った。新聞記者ほどではないが、私に無遠慮な質問をするものが少くなかった。