轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うんめいのままに

運命のままに

豊島 与志雄

「黒潮 第壹卷第貳号」太陽通信社、1916(大正5)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,406 字 · 57 页

青空文庫

だけどそれまであなたの方からは下さらないでね。私何時叔母の家を出るか分らないから。それに叔母が大変やかましいんですから。」

私達はそんなことを話しながら、何にも取り留めたことを云わなかった。然し私は外的のことを何も深くきかなくていいほど、お島の心を親しく感じていたのである。

私達はどの位の間街路を歩いたか知らない。そしてお島がもう帰ると云い出した時、私は何ともいえぬ哀愁に打たれた。

「叔母が帰ってるかも知れないから。」と彼女は云った。

私は、もしお島が帰ると云い出さなければ、何時までも二人で気兼ねのない散歩を続けたかも知れない。然し私は彼女を引留める術を知らなかったのである。そして私はお小遣いを少しあげようかと云ったけれどお島はどうしてもそれを受取らなかった。

「私もうあなたにお目にかかれたら、それでいいのよ。」と彼女は云った。

私達はお茶の水で別れた。彼女は其処から甲武線の電車で千駄ヶ谷まで帰るのであった。「身体を大事におし。」と私は云った。足を返して暫くしてふり向くと、お島は停車場の入口に切符を手にしたまま私を見送っていた。

私はそのまま真直に足を早めて下宿に帰っていった。