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うんめいのままに

運命のままに

豊島 与志雄

「黒潮 第壹卷第貳号」太陽通信社、1916(大正5)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,406 字 · 57 页

青空文庫

私はその日五時の汽車で両国から佐原に向った。

私はもう茲でこの告白に結末をつけなければならない。

私はお島の許で三日間を過した。そして其処に私が見出したものは、虐げられながら何物にも囚われない人間の心と、安らかな自己の運命の安定と、それから淋しい忘却の涙とであった。そしてまた、私はもう童貞ではなかったが、自己の軽視した relation sexuelle から美事に裏切られた。私はそれらの気持ちをそのまま東京に持って帰った。そしてまた私は激しい maladid を受けたことに気がついた。

されど私は常に、正面から大胆に運命の名に於て凡てを肯定してきた。そして今のような生活に入った。それから一年余りの時を経過した。それは私にとって、自己の運命に忠実な力強い時であった。

然しながら……最近になって、自分の見つめてきた運命の姿が見えなくなったような気持ちが私にしてきた。そして私は不安になってきた。然し私はなお、自己の運命に対して忠実であったことに力を感ずる。そして自分の運命に対する信念を疑いたくないと思っている、……そうだ、「思っている」という言葉だけしか今私は用ゆることが出来ない。