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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

「いやこれは御邪魔をしました」と客は立ちかける。

「まあいいでしょう」と中野君はとめた。せめて自分の説を少々でも批評して行って貰いたいのである。それでなくても、せんだって日比谷で聞いた高柳君の事をちょっと好奇心から、あたって見たいのである。一言にして云えば中野君はひまなのである。

「いえ、せっかくですが少々急ぎますから」と客はもう椅子を離れて、一歩テーブルを退いた。いかにひまな中野君も「それでは」とついに降参して御辞儀をする。玄関まで送って出た時思い切って

「あなたは、もしや高柳周作と云う男を御存じじゃないですか」と念晴らしのため聞いて見る。

「高柳? どうも知らんようです」と沓脱から片足をタタキへおろして、高い背を半分後ろへ捩じ向けた。

「ことし大学を卒業した……」

「それじゃ知らん訳だ」と両足ともタタキの上へ運んだ。

中野君はまだ何か云おうとした時、敷石をがらがらと車の軋る音がして梶棒は硝子の扉の前にとまった。道也先生が扉を開く途端に車上の人はひらり厚い雪駄を御影の上に落した。五色の雲がわが眼を掠めて過ぎた心持ちで往来へ出る。

時計はもう四時過ぎである。