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きんざんそうわ
金山揷話
大鹿 卓
「中央公論」1939(昭和14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,736 字 · 22 页
もちろんこの間に、私達は数名の同窓を失った。或るものは病没し、或るものは炭坑変災の犠牲となった。また或るものは満洲の奥地へ資源調査に乗り込んでゆき、飛行機が不時着したために匪賊の手にかかって、雄志もろとも空しくなったりした。しかし、齢をかさねて社会に活動している者にしても、おおかたは人生の艱難をようやく味い知り、等しく鬢髪に白いものを加えようとする年輩である。いま土田が云いだした森山とは私も一年前に会っていたが、中野とは卒業以来絶えて邂逅の機会にめぐまれていなかった。いくら想像をめぐらしても、今日の中野の風貌は、私の脳裡に浮んで来ない。
「ホームから窓を叩く者があるので誰かと思って見ると、われわれより後輩の市岡さ。鉱山の調査で中野君を釧路へ案内した帰りで、中野君もこの汽車に乗り込んでいるというんだ。そんな話をしていると、そこへまた思いがけなく森山君が寄って来て、やアやアというわけさ。森山君も北見からかえるところで、同じ汽車に乗っている事がわかった。実に奇遇だった。市岡は札幌の家へかえるので其処で別れ、それから森山君、中野君、僕と、三人が一緒になって、東京までほとんど飲みつづけだった。