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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(三)酒屋火事』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、随筆銭形平次。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 页

青空文庫

四

お辰は自信のない調子です。おそらく相手は大家の若旦那なので、見て見ぬ振りをしていたものでしょう。

「ところで変なことを訊くようだが、あれは親方の本当の子かい?」

平次はお駒の美しい死顔を指しました。

「…………」

「あんまり似なさすぎる。が、お神さん、本当のことを言ってくれ、どうせ後で知れることなんだから」

「私の連れ子ですよ、親分」

「というと?」

「あの娘が二つの時前の亭主に死別れて、ここへ伴れ子を承知で二度目の嫁入りしました。でも、家の人は、それはそれはお駒を可愛がってくれました。――十七年も手塩にかけて育てたんですもの」

お辰はそれとなく夫の松五郎のために弁解しております。

「これは?」

平次の指はお雪を差しました。

「主人の姪ですよ」

美しい義子と醜い姪と、この辺にも因縁が絡んでいそうです。

四

「親分、帰りましょうか」

ガラッ八は大きな欠伸までして見せました。たかが稽古矢の間違いで人を一人死なせたぐらいのことで、日の暮れるのも構わず、植木屋の庭と相模屋の寮から離れようともしない、親分の平次の態度が不思議でたまらなかったのです。

「待ちな、八、今晩はきっと面白いことがあるから」