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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(九)不死の霊薬』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 页

青空文庫

三

「お仙さん、驚いたろう」

と見ると、中は空っぽ。

「あッ」

咄嗟の間に、駕籠の中から花嫁は攫われてしまったのでした。

三

八百峰の近くまでたどり着いて、いくらか心持に隙の出来たところを狙ったやり口や、抜け裏を利用して、駕籠で入口を塞いだ細工などを見ると、容易の曲者ではありません。

「親分、何とも申し訳がねえ、俺は腹でも切りてえ」

すっかり恐れ入って報告する八を宥めるように、

「いや、その様子では俺が行っても失策ったかもわからねえ。手離せねえ用事があったにしても、手前一人でやったのが間違えだ」

平次はそんな事を言っております。

時を移さず、鼠屋横町の抜け裏から、八百峰の立ち騒ぐ人達の様子、驚き呆れる十軒店の八百徳まで廻ってみましたが、手掛りらしいものは一つもありません。

「六尺棒を若い衆の股の間に投げ込んだ手際じゃ、ザラの泥棒や人さらいじゃねえ――」という噂を聞いたのがせいぜい。平次は何の得るところもなく、暁方近くなって引揚げて来ました。

その頃は、諸大名の門番や、見附の番人は言うに及ばず、渡り仲間、軽輩な士分の者まで、一種の武器として、棒を使ったもので、駕籠屋の股へ棒を放り込むくらいの事は、ちょっと心得のある者なら、誰にだって出来ます。