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ながさきのかね

長崎の鐘

永井 隆

「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页

青空文庫

壕舎の客

結果は良好であった。瀕死の患者が皆助かった。これを始めてから一人も死なないようになった。

栄養食としては肝臓野菜食療法を実施した。どんな動物でもいいから肝臓をとって、なるべく生で、あるいは軽く焼いて与え、また新鮮な生野菜をうんと食わせた。これは極めて有効であった。

酒はよい薬であった。危篤に陥って、最後に好きな酒を十分飲んだら、よくなった例がある。

自宅静養は結果からみて良い影響を与えた。あんな混乱の際に救護所に詰めこまれて遠慮がちな明け暮れを送るよりも、気楽な自宅で親切な大勢の肉親から看病してもらうほうが、どれほど患者の安静になるか測り知れない。ただ私たち救護班としては毎日巡回するのが大変な負担だった。どこからも一銭も手当をいただかないのだから、せめて下駄なりと看護婦に渡してやりたかった。

壕舎の客

大学は再興と決定し、新興善国民学校で診療と研究を始めた。わずかな生き残りの人々が集まった。私たちも三ツ山の渓を下って大学に帰った。十一月二日には大学の慰霊祭があり、八百七名の友の冥福を祈った。

私は、爆心地に近い上野町に一坪あまりのトタン小屋を作ってもらい、それに入った。