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ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页
死んだ友も一人一人なつかしい。生き残ってこうして一本の畑路をゆく友も一人一人いとしい。私は再び首を上げて、はるかに低い乙女星を捜した。青い、澄んだそのつつましい光に向かって、美しく死んだ看護婦たちの冥福を祈りたかったから。
十三日。今日もからりと晴れて暑い。六時、下の渓流に降りて顔を洗い、そのまま六枚板地区に行く。この日、六枚板、赤水、とっぽ水、踊瀬の四地区、工程八キロの予定だから、朝飯前に一地区を済まそうと思って行ったのだったが、来てみると怪我人は意外に多く、救護班の来たのを伝え聞き、次から次と集まってきて、とうとう十時までかかる。
篤農家の松下さんの家ではいつのまにか朝ご飯の支度をととのえてくださっていて、私たちが手を洗い終わったら、どうぞこちらへといわれて、驚いたり、恐縮したりだった。畳の上に座り、お給仕されて、白く湯気の立つご飯を手にしたら、思わず涙がこぼれた。生きてあればこそ、生きてあればこそ。さあさあ、元気を出して村中助けてもらわねばなりませんから、うんとお上がりくださいよ。朝飯と昼飯と二度分つめておいでなさい。上手にすすめられ、一同しみじみおいしくいただいて、ここを辞す。