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ながさきのかね

長崎の鐘

永井 隆

「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页

青空文庫

戦争がすんだと話をして、傍らにいた青年から叩かれた人も相当多いようです」

みんな不機嫌になって、黙りこんで傷に向かう。本当だろう、否、うそだろう。デマにちがいない、いや、ひょっとしたら真実だ。頭の中を車が回るようだ。治療を終わった手を洗ったのが、今日もまた十時。長老が担いできた罐詰で簡単な夕飯をしたためる。腹は空いていたがうまくない。

十六日、時限原子爆弾が落ちてきた。小さなウラニウム弾だった。時計仕掛けになっているので、カッチカッチと鳴っている。あと五分たったら爆発するんだ。しかも、ここに落ちていることを誰も知らない。私は焦った。これを退治せねばならぬ。幸い手に竹槍を持っていた。これで私はエイと叫んで突いてみた。竹槍は何の手応えもなく、ぐにゃりと折れた。横に竹槍が並べてある。それを取っては突き、取っては突くが、原子爆弾は頑固な奴で、ぐにゃぐにゃと竹槍を曲げてしまう。私はいよいよイライラして、エイ、ヤッ、エイ、ヤッと突く。呼吸が苦しくなり、汗がじっとりしてきた。爆弾はまさに爆発せんとする。私はもう恐怖のどん底に突き落とされた。ガラガラッと轟音がした。