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ながさきのかね

長崎の鐘

永井 隆

「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页

青空文庫

ピカッと光った。かっと顔に光線が当たった。私は、やられたっ、と叫んだ。

「部長先生、部長先生、どうなされました」

婦長さんの顔が私の見開いた目の前にあった。豆ちゃんが今雨戸を開けたところで、私の顔に朝陽が差している。

「まあ、熱がある」婦長さんが私の額に手を当ててみて、手拭で汗を拭いてくれた。起きようとして私は眩暈を感じ、さらに右脚が痛んで動かせぬのに気づいた。婦長さんは脚をしらべていたが、「まあ、傷が皆化膿しています。なぜこんなになるまで黙っていらっしゃいました?」と責めた。「戦争だもの」と、私も負けずに答えはしたものの、今日は起きることもできぬ。皆は私の傷の手当てをしたり注射をしてくれたりして、川平のほうへ出ていった。椿山君が正確な情報を得るために市中へ下った。私は一人うなりながら、うとうとと留守役。

「部長先生!」

椿山君が帰ってきていた。暗い顔をして一枚の新聞紙を私に渡す。私は受け取りながらちらっと見てしまった。見るべからざりし文字を、この数年、この文字を見ることなかれ、と戦いつづけてきた文字を!

「終戦の聖断下る」

日本敗れたり!

わっと声をたてて私は泣きだしていた。