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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

「小六さんの事はどうなって」と夫に聞くと、

「まだどうもならないさ」と宗助は答えたが、十分ばかりの後夫婦ともすやすや寝入った。

翌日眼が覚めて役所の生活が始まると、宗助はもう小六の事を考える暇を有たなかった。家へ帰って、のっそりしている時ですら、この問題を確的眼の前に描いて明らかにそれを眺める事を憚かった。髪の毛の中に包んである彼の脳は、その煩わしさに堪えなかった。昔は数学が好きで、随分込み入った幾何の問題を、頭の中で明暸な図にして見るだけの根気があった事を憶い出すと、時日の割には非常に烈しく来たこの変化が自分にも恐ろしく映った。

それでも日に一度ぐらいは小六の姿がぼんやり頭の奥に浮いて来る事があって、その時だけは、あいつの将来も何とか考えておかなくっちゃならないと云う気も起った。しかしすぐあとから、まあ急ぐにも及ぶまいぐらいに、自分と打ち消してしまうのが常であった。そうして、胸の筋が一本鉤に引っ掛ったような心を抱いて、日を暮らしていた。

そのうち九月も末になって、毎晩天の河が濃く見えるある宵の事、空から降ったように安之助がやって来た。宗助にも御米にも思い掛けないほど稀な客なので、二人とも何か用があっての訪問だろうと推したが、はたして小六に関する件であった。