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ざっき(に)

雑記(Ⅱ)

寺田 寅彦

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,640 字 · 14 页

青空文庫

同じくらいの時間間隔を置いて連続的に五回の爆発をやるのがいちばん多いようであった。つづけて五回音がして空中へ五つの煙の団塊が団子のように並ぶだけと云わばそれまでのものである。

「音さえすりゃあ、いいんだね」「音さえすりゃあ、いいんだよ」、こんな事を云いながら、それでもやはり未練らしくいつまでも見物している職人の仲間もあった。見物している連中を見渡してみると、ほとんど労働者階級の人らしく、兵隊や女も少しはまじっていたが、いわゆる知識階級に属するらしい人は一人も見当らなかった。知識階級の人は、こういう種類の見物にはあまり興味を持たないのか、それとも、花火の技術や現象などはとうにもう知っているから、いまさらこんなところで見物する必要がないのか、そうではあるまい、むしろそんなものをぼんやり呑気に見ているような暇がないのだろうと思ってみた。もっとも向う河岸の官衙の裏河岸を見るとかなり立派な役人達で呑気そうに見物しているのも大勢居た。河一つ隔てて、こう事柄のちがうのは果してどういう訳だろうとも思ってみたりした。

五回の爆声の間の四つの時間間隔は決して一様にはならないものらしい。