轻松读懂日语经典作品
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
はという気がするんですよ」
「それではもう、お夕餉は召上らぬのでございますか」
おたよはさりげなく話をそらした。良人の気持にまきこまれまい、話だけで信用してはいけない。こう自分を抑えているようすが、伊兵衛にはいかにも哀れに思えるのであった。
翌日もやはり雨が降っていたが、彼は城下町までいって、出来合の裃や鼻紙袋や、扇子、足袋、履物などを買い、かなり金が余るので、妻のために釵を買った。
――おたよに物を買うなんて久方ぶりだなあ。
多少いい心もちになったが、道へ出て歩きだすと、例のどこか刺されでもしたような表情でぎゅっと眉をしかめた。
――冗談じゃない。
久方ぶりどころか、妻のために物を買うなどということは初めてである。結婚して八年半、彼女が実家から持って来た物は、すべて売ってしまった。松平家を退身するときには、まだ小さな道具類は持っていたが、それも放浪ちゅうに残らず売ってしまった。しかもこちらから買ってやった物は一つもないのである。彼はしょげて、溜息をついた。それから急に顔をあげ喧嘩でも売るようなぐあいに、「だがこんどは正夢ですからね」こう呟いて天を睨めつけた、「――使いの来るすぐまえに前兆もあり、あらゆる条件が揃ってるんだから、それにもうそろそろ、いくらなんでもそろそろ時節が来てもいい頃だよ」