轻松读懂日语经典作品
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
「サンデー毎日涼風特別号」毎日新聞社、1951(昭和26)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 页
「主膳が申しますには、まことに稀なる武芸者、その類のないお腕前といい高邁なる御志操といい、禄高に拘らずぜひ御随身が願いたい、また藩侯におかれましても特に御熱心のように拝されまして」
「いやそんな、それは過分なお言葉です、私はそんな」
「そういうしだいで、当方としては既にお召抱えと決定しかかったのですが、そこに思わぬ故障が起こったのです」
伊兵衛は息をのみ、地面が揺れだすように感じて、ぐっと膝を掴んだ。
「故障といっても当方のことではなく、責任はそこもとから出たのですが」大六は冷やかに続けた、「――それは貴方が賭け試合をなすった、城下町のさる道場において金子を賭けて試合をし、勝ってその金子を取ってゆかれた……、もちろん御記憶でございましょう」
伊兵衛は辛うじて頷いた。そしていつか青山家の道場で、相手の三人のうちの一人が、彼を見るなり逃げだしたことを思いだした。
「慥かに覚えております、覚えておりますけれども」伊兵衛はおろおろと、「――それは実はまことに気の毒な者がおりまして、この宿にいた客なんですが」
「理由のいかんに拘らず、武士として賭け試合をするなどということは、不面目の第一であるし、それを訴え出た者がある以上、当方としては手を引かざるを得ません、残念ながらこの話は無かったものとお思い下さるように」