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ゆき

雪

楠田 匡介

「探偵新聞」1948(昭和23)年5月5日号、5月15日号、5月25日号、6月5日号、6月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,792 字 · 50 页

青空文庫

只の封筒でしたが――その中に(伊東¥3.000.00三月末)と書いてあるのがあって、中身はなかった。伊東と話中早川はそれを出して彼に見せたのだろうね。そして文庫に入れる時封筒に入れずに一番上に乗せておいた。次の日、ドアを破って入った時、人々の気の転倒しているすきに、伊東は手早く処理したという訳さ。彼は千円といってはいたがね」

「なら、どうして殺した時、盗らなかったのかね」

「誰が?」

「誰がって伊東がさ!」

「あっははは、伊東は犯人じゃないよ。少くとも今の所はね」

「え! じゃなぜ、あんな事を伊東にいったんだい」

「今の所、伊東にも外の者にも彼に嫌疑をかけていると思わせておき度かったからですよ」

「へえ……」と署長はいったが納得の行かない顔で「じゃ君は、証書は見ないんでしょう?」

「そりゃ見ないよ」

「じゃ三千円の金額は良いとして、交換条件に……」

「あっははは、あれかい? あれは山勘さ、どうせ早川の様な男だ、只で三千円は貸さんからね。あははは」

×         ×         ×

五十嵐の場合は――

伊東の話では、彼自身は、五十嵐の帰って来た音で、目を覚したといっているが、五十嵐の陳述では伊東は、その前から起きていたのだといっている。