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かみなり

雷

海野 十三

「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页

青空文庫

それは背の高い杉の二本柱の天頂に、まるで水牛の角を真直にのばしたような、ひどく長くて不恰好な銅の針がニューッと天に向って伸びているのだった。その銅針の下には、お銚子の袴のような銅製の円筒がついていて、これが杉の丸太の上に、帽子のように嵌っていた。

「これは避雷針かい、それとも雷避けのお呪いかい」

「もちろん、避雷針だよ。銅だって、一分もある厚いやつを使ってあるんで……。それにあの針と来たら、少し曲ってはいるが、ああいう風にだんだんと尖端の方にゆくにつれて細くするには、とても骨を折った。……それを嗤うというのは、可笑しい」

「うん、見懸けだけは、松さんが云ったとおり立派さ。だがこれでは近いうちに、この梯子の上に、きっと落雷するよ」

「冗談云っちゃいけない。四郎……さんは、そりゃ豪くなったことは豪くなったろうが、この建築にかけては、儂の方が豪いよ」

「梯子は建築だろうが、避雷針は電気の学問だ。それについては、私の方がずっと知っているよ。落雷するといったら、落雷することに間違いはない。夕立がやってきたとき、この梯子に登っている者を見たときは、すぐに降りるように云ってやらにゃいけない」