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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
「おかしいね。これはどうやら、ほかにぬけ道があるらしいぞ」
にげた団長
「おじさん。お父さまをくるしめていたスパイ団の団長がみえないよ」
と、高一少年がさけびました。
「なに団長が……。うむ、いよいよぬけ道があることにきまった。さあ、さがすんだ」
そのとき愛犬マルは、なにおもったか耳をぴんとたて、かたわらのおおきい岩のうえにとびあがり、そのむこうにすがたをけしました。まもなく、わんわんとマルのほえるこえ!
「それ、ぬけ穴だっ」
と、みなのものも岩をとびこえてみると、なるほど下につづいたぬけ道がありました。いそいでいってみると、ぴかりと光るもの――電気鳩です。マルにおいかけられています。
しかも、そのそばには、団長が黒い箱をせおってにげてゆきます。
「おいまてっ――」
と良太おじさんたちは、一生けんめいにおいかけましたが、ぬけ穴を出たところが、がけの下でした。スパイの団長は、そこにこしらえてあった、なわばしごをつたってがけの上にあがり、そして、そのなわばしごを上にひきあげてしまったものですから、いくら強い憲兵さんたちでも、がけをのぼることができません。