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しんさいにっし
震災日誌
喜田 貞吉
「社会史研究 第一〇巻第三号」1923(大正12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,617 字 · 40 页
これで六人の家族がまず四日ばかりは支えられる。さらに素麺・鑵詰・※(「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68)パンなど、手当り次第に買い集めさせた。なおよく調べてみると、鶏の餌として買入れた白米の粉米が一斗ばかりある。先日埼玉県なる妻の実家から送ってくれたメリケン粉や馬鈴薯も少からずあることに気がついた。いよいよ困ればそれを喰ってでも当分飢餓に陥る気づかいはない。水も濾しさえすれば井戸の湧出量は豊富だ。蝋燭も多少の用意があるうえに、石油も二升ばかり買い入れて、久しく物置の隅に放かしておいたランプが役に立った。これでまず差当り安心することが出来たというものだ。
食糧や明りの用意が出来てみると、今度はお金が心配になって来る。手もとに百円近くの用意はあるが、工事中の職人の日当がまだ払ってない。取引きのある銀行は皆支払を停止している。先月分の俸給を京都から振替で送金したので、その他の分を併せて五百円だが、払出請求書を三十一日に出しておいたが、これもとても当分は手に入りそうもない。生憎の時には生憎なもので、家族の郵便貯金通帳五冊は、人の分を預っているのとともに、先月三十日に通帳検閲に提出して手もとにない。