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しんさいにっし

震災日誌

喜田 貞吉

「社会史研究 第一〇巻第三号」1923(大正12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,617 字 · 40 页

青空文庫

不在中に帝大の書記中川清人君と、横浜市史編纂主任の堀田璋左右君とが見舞に見えた。堀田君は当日正午前何となく不安の予感があったので、市庁の屋外に出たあとであの騒ぎだったがために、幸いに御無事であったという。しかし横浜の仮寓が焼かれたばかりでなく、市庁の火災に多年蒐集した市史材料も編纂者の研究の結果も、借り集めた莫大なる史料とともにことごとく焼いてしまわれたのは、横浜市にとっても、また学界のためにも取り返しのつかぬ大損害である。過去の横浜の歴史の大部分はこの震災火災のために永久に葬られてしまった訳だ。平安朝以来度々の京都の大火に、過去の史料が失われて真相が不明になったものの多いのも、かくやと思い合わされた。

地震の度数も少くなった。その揺り方もゆるくなった。人気もだんだん落ち付いて来た。罹災者もそろそろ露店や立売りを始めて生活の方針を考え出した。七日には水道も通じ電車も動き出した。自分もそういつまでも、震災のことにのみ没頭してはおられぬ。この「震災日誌」もまず右の六日限りで切り上げて、以下簡略にこれに関係した出来事の要領のみを書き止めて次号〔(『社会史研究』