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しんさいにっし
震災日誌
喜田 貞吉
「社会史研究 第一〇巻第三号」1923(大正12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,617 字 · 40 页
十六年前新築のさいに、これも大工らに笑われながら、地形固めに念を入れたり、柱や梁や桁の間を筋交で綴じ合わしたりしておいたためなのだ。それでいて屋根瓦が全部崩れ落ちたのは、雨水の走りのよいようにと幾分勾配を急にしてあったのと、子供らがよく屋上を運動場にして、瓦の落ちつきを踏みゆるめてあったのと、いま一つは建物全体が一つに綴じ固められて震動の際にゆとりがなかったためかと思われる。
母屋に取りつけた庇や、便所や、玄関などには幾分の狂いが出来て、開き戸が開かなくなったり、雨戸が締りにくくなっている所がある。この部分の基礎工事が悪かったお蔭だ。裏座敷は一昨年改修して、基礎工事も丈夫になったし、第一屋根を亜鉛引鉄板で葺いてあるので、少々壁が落ちたり、本棚から書物が投げ出されたりしたくらいでほとんど損害はない。台所の入口に設けたタンクは、煉瓦で積み上げた台の一部が壊れて戸袋によりかかり、雨戸が引き出せなくなった。水道は瓦斯や電気・電話などとともに、第一次の激震で皆一様に止まってしまった。
湯殿にも多少の損傷があるがたいしたことはない。石蔵も内部の物品は遺憾なく投げ出されたが、まず無事だ。