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きりをけすはなし

霧を消す話

中谷 宇吉郎

「思想」1945(昭和20)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,903 字 · 16 页

青空文庫

と英紙は報じている。大臣が真夜中に叩き起されて、霧の人工消散実験に立会うというのは、われわれには一寸想像できないが、熱心といえば随分熱心なものである。

この中規模実験がすんで、まだ霧の焼払装置が最後の完成をみないうちに、先導機飛行場に大掛りの実戦用施設をそなえることに極まり、すぐ工事に着手したようである。問題は石油燃焼装置を飛行場にどう配置するかにある。ヒース・ロウの新飛行場にある「世界最大最新の」FIDOは「一言に言えばそれは着陸場に置かれた中が空ろな火焔の巨大な箱」で「石油を入れた管が滑走路周辺に長方形に置かれ」「管には短い間隔を置いて小さな穴が一面にあり、その穴からスイッチで急速に開閉できる石油の蒸気が圧力によって押出される」「かくて生じた凄じい熱気が霧の構成分子たる水の小粒を蒸発せしめる」のであるという。

この記事では何のことかよくわからないが、多分次のような設備になっているのであろう。滑走路の周囲に溝を掘って、その中に鉄の樋を埋める。それが「火焔の巨大な箱」である。その中に石油を送る配管があり、短い間隔を置いて噴出孔が並んでいる。そこから圧搾空気を用いて霧吹きのように石油を微滴として吹き出す。