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きりをけすはなし
霧を消す話
中谷 宇吉郎
「思想」1945(昭和20)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,903 字 · 16 页
ところで急遽実用化をするとなると、誰が考えても、結局熱式を採用するより外に方法はない。フンカイン等もそういうふうに考えたのであろう。そして霧の時期まで待てないとなると、人工的に霧を作って、それで実験をしなければならない。天然の霧も結局水蒸気の多い大気が冷えて出来るものであるから、人工的にも大規模な冷却装置があれば、霧を作ることは簡単である。そこで選ばれたのが、アールス・コートのスケート・リンクである。
人造霧が得られれば、実験はどんどん出来るはずである。それに熱式と腹を決めてしまえば、あとは大量の熱気を得る装置さえ作ればよいことになる。そういう装置は熱機関の方面で充分研究され、既に実用に供されているものが沢山ある。国家の研究としてやればわけなく出来るべき性質の研究である。事実、スケート・リンクでの予備実験は極めて短時日で終了したらしく、石油を完全燃焼させて、その過熱排気を直接大気中に放出する方法を用いることになったらしい。その方法は記載してないが、昨年の十二月、この記者がイースト・アングリアの飛行場でFIDOの作動状態を見せられた時の記事から推察することが出来る。