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めしまつま
飯待つ間
正岡 子規
正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页
誰かはや来て居るよ。ハア植木屋がかなめを植えに来たと見える。しかしゆうべまであった花はどうしたろう、生花も造花もなんにも一つもないよ。何やら盛物もあったがそれも見えない。きっと乞食が取ったか、この近辺の子が持って往たのだろう。これだから日本は困るというのだ。社会の公徳というものが少しも行われて居らぬ。西洋の話を聞くと公園の真中に草花がつくってある。それには垣も囲いもなんにもない。多くの人はその傍を散歩して居る。それでもその花一つ取る者は仮にもない。どんな子供でも決して取るなんという事はないそうだ。それが日本ではどうだ。白壁があったら楽書するものときまって居る。道端や公園の花は折り取るものにきまって居る。もし巡査が居なければ公園に花の咲く木は絶えてしまうだろう。殊に死人の墓にまで来て花や盛物を盗む。盗んでも彼らは不徳義とも思やせぬ。むしろ正当のように思ってる。如何に無教育の下等社会だって…………しかし貧民の身になって考て見るとこの窃盗罪の内に多少の正理が包まれて居ない事もない。墓場の鴉の腸を肥すほどの物があるなら墓場の近辺の貧民を賑わしてやるが善いじャないか。