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めしまつま

飯待つ間

正岡 子規

正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页

青空文庫

……………次も二人乗の車だが今度は威勢が善い。乗ってる者は、三十余りか四十にも近い位の、かっぷくの善い、堅帽を被った男で、中位な熊手を持って居る。大方かなりな商家の若旦那であろう。四十近くでは若旦那でもない訳だが、それは六十に余る達者な親父があって、その親父がまた慾ばりきったごうつくばりのえら者で、なかなか六十になっても七十になっても隠居なんかしないので、立派な一人前の後つぎを持ちながらまだ容易に財産を引き渡さぬ、それで仕方なしに今に若旦那で居るという人相をして居る、側に乗って居るのは十二、三の少年でこれが末の弟に違いない。こいつにも余り福をやりたくないのであるが、しかし大鷲大明神なかなか慾ばって居るからこれくらいの熊手を買うてもろうた義理に少しは掻き込んでやるかもしれない。……………仲町を左へ曲って雪見橋へ出ると出あいがしらに、三十四、五の、丸髷に結うた、栗に目口鼻つけたような顔の、手頃の熊手を持った、不断著のままに下駄はいた、どこかの上さんが来た。くたびれた様も見えないで、下駄の歯をかつかつと鳴らしながら、さっさと帰って行く。その人相を見るに、これは夫婦ぐらしで豆屋を始めて居て夫婦とも非常な稼ぎ手ではあるが、上さんの方がかえって愛嬌が少いので、上さんはいつも豆の熬り役で、亭主の方が紙袋に盛り役を勤め