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めしまつま

飯待つ間

正岡 子規

正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页

青空文庫

一日の炎天を草鞋の埃りにまぶれながら歩いてようよう宿屋に着いた時はただ労れに労れて何も仕事などの出来る者ではない。風呂に入って汗を流し座敷に帰って足を延べた時は生き返ったようであるが、同時に草臥れが出てしもうて最早筆を採る勇気はない。其処でその夜は寐てしもうて翌朝になって文章を書いて新聞社に送って置く。そうして宿屋を出る時は最早九時にも十時にもなって居る事があって詰り朝の涼い間をかえって宿屋で費し暑い盛りを歩かねばならぬような事になる。それは恐らく実験のない人には気の附かぬ事である。

余は行脚的旅行は多少の経験があるが、しかしこの紀行にあるように各地で歓迎などを受ける旅行はまだした事がない。毎日毎日歓迎を受けるのは楽しい者であるか苦しい者であるか余にはわからぬが時としてはうるさい事もあるであろう。けれども一日の旅行を終りて草臥れ直しの晩酌に美酒佳肴山の如く、あるいは赤襟赤裾の人さえも交りてもてなされるのは満更悪い事もあるまい。しかしこの記者の目的は美人に非ず、酒に非ず、談話に非ず、ただ一意大食にある事は甚だ余の賛成を表する所である。

この紀行が『二六新報』