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めしまつま
飯待つ間
正岡 子規
正岡子規『飯待つ間』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飯待つ間、犬、画、句合の月、九月十四日の朝、くだもの、ランプの影、熊手と提灯、徒歩旅行を読む、病牀苦語、車上の春光、煩悶、初夢、夢、病、墓、酒、権助の恋、恋。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,525 字 · 126 页
人間は実に現金なものであるということを今更に知ることが出来る。
○去年の春であったか、非無という年の若い真宗坊さんが来て談しているうちに、話頭はふと宗教の上に落ちて「君に宗教はいらないでしょう」と坊さんが言い出した。そこで「宗教がいるかいらないかそういう事は知らぬけれど、僕は小供のうちから宗教嫌いで、二十歳前後の頃は、宗教という言葉を聞いても癪に障るほどであった。それは固より宗教を理窟詰にしようという考えであったから、唯物論に傾いていた僕には何だか善くもわからぬ癖に、耶蘇教でも仏教でもただ頭から嫌いで仕方がなかった。それが近年に至って文学上の趣味を楽むようになってから、智識的な事には少しあきが来て、感情に走った結果、宗教上の信仰という事に味いが出て来て、耶蘇教でも仏教でも信仰のある所には愉快な感じが起るようになった。しかしそれは文学上の美感が単に感情の上に立って居って決して理窟を入れないという所から、信仰というものも少し方角は違うがやはりそんなのであるまいかと、推し及ぼしただけの話しであって、今にまだ耶蘇教とか仏教とかの信者になる事は出来ない。それならば哲学上の意見があるかと言うと、そういうむつかしい事は僕にはわからぬ。