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かみのけ

髪の毛

佐々木 邦

「面白倶楽部」大日本雄辯會講談社、1926(大正15)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,242 字 · 13 页

青空文庫

「チョイ/\嘘をつくようになりましたから、この頃は毎晩厳重に検めていましたの。ところが私少し拙かったのよ。序にズボンのポケットの綻びを繕って置いて上げたものですからね」

「感づかれましたね?」

「えゝ。少し考え込んで、何うしてポケットの穴なんか発見したのかって、怖い顔をなさいましたわ」

「それであなたは逐一白状しておしまいになったんでしょう?」

「いゝえ、大違いよ。これは感づかれたと思いましたから、私、急に居直り強盗になって、ホヽヽヽと笑って上げましたの」

「豪いのね。居直り強盗は好かったわ。その呼吸が大切ですよ」

「それでも冗談を仰有って誤魔化そうとしましたから、私、少し泣声になって強く言って上げましたわ。すると急に慌て出して、恐れ入ったと仰有いましたの」

「まあ! 大成功ね。早速姉さんに申上げますわ」

「あら、厭でございますよ、奥さん」

「でも姉さんは始終あなたのことを仰有っていなさいますわ」

「この間は少し中川さんの奥さんにおあやかりなさいと申して参りました」

「あら、私、好い迷惑ですわ。けれども奥さん、旦那さまに仰有って宜うございましたよ。唯黙って操縦していたって詰まりませんからね。