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くろてぐみ
黒手組
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1925(大正14)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,978 字 · 36 页
についてあらゆる材料を蒐集し、丁度得意の推理を組立てつつある所でした。而も彼の口ぶりではどうやら何か端緒を掴んでいる様子なのです。で、私が伯父のことを話しますと、そういう実例にぶッつかるのは願ってもないことだという訳で早速承諾して呉れ、時を移さず連立って伯父の家へ帰ることが出来ました。
間もなく、明智と私とは伯父の邸の数寄を凝した応接間で伯父と対座していました。伯母や書生の牧田なども出て来て話に加わりました。この牧田というのは身代金手交の当日伯父の護衛役として現場へ同行した男なので、参考の為に伯父に呼ばれたのでした。
取込みの中で紅茶だ菓子だと色々のものが運ばれました。明智は舶来の接待煙草を一本つまんで、つつましやかに煙を吐いていましたっけ。伯父は如何にも実業界の古狸といった形で、生来大男の処へ美食と運動不足の為にデブデブ肥っていますので、こんな場合にも、多分に相手を威圧する様な所を失いません。その伯父の両隣に伯母と牧田が坐っているのですが、これが又二人共痩形で、殊に牧田は人並はずれた小男ですから、一層伯父の恰幅が引立って見えます。一通り挨拶がすみますと、事情は已に私からざっと話してあったのですけれど、もう一度詳しく聞き度いという明智の希望で、伯父が説明を初めました。