轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页

青空文庫

たぶん彼奴は魑魅魍魎だろうぜ」

「どうして、やつは大魔霊さ」と法水は意外な言を吐いた。「あの弱音器記号には、中世迷信の形相凄じい力が籠っているのだよ」

楽譜の知識のない二人には、法水が闡明するのを待つよりほかになかった。法水は一息深く煙を吸い込んで云った。

「勿論、Con Sordino では意味をなさないのだが、それには、一つだけ例外があるのだ。と云うのは、僕が先刻鎮子を面喰わせた、『パルシファル』なんだよ。ワグネルはあの楽劇の中で、フレンチ・ホルンの弱音器記号に+という符号を使っている。ところが、それは傍ら棺龕十字架の表象でもあり、また数論占星学では、三惑星の星座連結を表わしているのだ」と法水は、指で掌に描いたその記号の三隅に、ちょうど+となるような位置で、点を三つ打った。

「そうすると、いったいその棺龕と云うのは、どこにあるのだね?」検事が問い返すと、法水はちょっと凄惨な形相をして、耳を窓外へ傾げるような所作をした。

「聞えないかい、あれが。風の絶え間になると、錘舌が鐘に触れる音が、僕には聞えるのだがね」

「ああなるほど」そうは云ったものの、熊城は背筋に冷たいものを感じて、自分の理性の力を疑わざるを得なかった。