轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页

青空文庫

レヴェズさん、その二つを兼ね具えたものと云えば、まず貴方以外にはないのですよ」とにわかに酷烈な調子となって、法水の全身が、メラメラ立ち上る焔のようなものに包まれてしまった。「勿論ダンネベルグ夫人は他界の人ですし、伸子もそれを口に出す道理はありません。しかし、事件の最初の夜、伸子が花瓶を壊した際に、たしか貴方はあの室にお出でになりましたね」

レヴェズは思わず愕然として、肱掛を握った片手が怪しくも慄え出した。

「それでは、儂が伸子に愛を求めたのを発見されたために、持分を失うまいとして、グレーテさんを殺したのだ――と。莫迦な、それは貴方の自分勝手な好尚だ。貴方は、歪んだ空想のために、常軌を逸しとるのです」

「ところがレヴェズさん、その解式と云うのは、貴方が再三打衝って御存じのはずですがね。そこにあるは薔薇なりその辺りに鳥の声は絶えて響かず――つまり、レナウの『秋の心』の一節なんですから」と法水は、静かな洗煉された調子で、彼の実証法を述べるのだった。

「ところで、今となれば御気づきでしょうが、僕は事件の関係者を映す心像鏡として、実は詩を用いました。そして、数多の象徴を打ち撒けておいたのです。