轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页
それから十二時になると、ダンネベルグ様は、扉に鍵をかけさせて、その鍵を枕の下に入れてから、果物をお命じになり、あの洋橙をお取りになりました。洋橙を取る時も何とも仰言いませず、その後は音も聞えず御熟睡のようなので、私達は衝立の蔭に長椅子を置いて、その上で横になっておりました」
「では、その前後に微かな鈴のような音が」と訊ねて、鎮子の否定に遇うと、検事は莨を抛り出して呟いた。
「すると、額はないのだし、やはり夫人はテレーズの幻覚を見たのかな。そうして完全な密室になってしまうと、創紋との間に大変な矛盾が起ってしまうぜ」
「そうだ、支倉君」と法水は静かに云った。「僕はより以上微妙な矛盾を発見しているよ。先刻人形の室で組み立てたものが、この室に戻って来ると、突然逆転してしまったのだ。この室は開けずの間だったと云うけれども、その実、永い間絶えず出入りしていたものがあったのだよ。その歴然とした形跡が残っているのだ」
「冗談じゃない」熊城は吃驚して叫んだ。「鍵穴には永年の錆がこびり付いていて、最初開く時に、鍵の孔が刺さらなかったとか云うぜ。それに、人形の室と違って、岩乗な弾条で作用する落し金なんだから、どう考えても、糸で操れそうもないし、無論床口にも陰扉のないという事は、既に反響測定器で確かめているんだ」