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くろふねぜんご
黒船前後・志士と経済他十六篇
服部 之総
服部之総『黒船前後・志士と経済他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:黒船前後、志士と経済、空罎、加波山、咸臨丸その他、汽船が太平洋を横断するまで、黒田清隆の方針、黒船来航、新撰組、せいばい、尊攘戦略史、撥陵遠征隊、福沢諭吉、武鑑譜、望郷、蓮月焼、Moods cashey。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,901 字 · 247 页
ところで、さきに幕末から明治初年にかけての武鑑と書いたのを奇異に思われたむきもあろう。版籍奉還がおこなわれた明治二年七月までは、幕府はなくなって朝廷が旧幕領を直轄したというだけで、諸大名は旧体制のまま残っていたのであり、版籍奉還ののちになっても、大小名の名目が知藩事とかわり、独立の封建領主が形ばかり天皇制の官僚となったというまでのことである。
この時代の珍重すべき武鑑は――もはや武鑑とはいわず『藩銘録』と題されているのだが、わたしの手もとにあるのは明治三年庚午初春荒木氏編輯、御用書師和泉屋市兵衛、須原屋茂兵衛共同出版の、袖珍十九丁ものである。
それは藩名をイロハ順に編別したもので、イの一番は厳原(イツハラ)藩、対馬十万石の宗従四位むろん徳川時代に厳原などという藩名はなかった。以前の長州藩松平大膳大夫はここでは山口藩毛利従三位であり、前将軍家は、シの部の筆頭に静岡藩、駿河七十万石徳川従三位とあるのがそれだ。武鑑で大名は壱岐守、伊賀守、周防守であったものが、ここではすべて正二位から従五位にいたる廷臣としての序列でならんでいる。武鑑の御老中の欄に交替した譜代大名はおおむね従五位のならび大名と化しており、正二位は広島の浅野ただ一人、かれは討幕派諸大名中の長老である。