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くろふねぜんご
黒船前後・志士と経済他十六篇
服部 之総
服部之総『黒船前後・志士と経済他十六篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:黒船前後、志士と経済、空罎、加波山、咸臨丸その他、汽船が太平洋を横断するまで、黒田清隆の方針、黒船来航、新撰組、せいばい、尊攘戦略史、撥陵遠征隊、福沢諭吉、武鑑譜、望郷、蓮月焼、Moods cashey。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,901 字 · 247 页
望郷
歴研(歴史学研究会)北海道支部に日程は一任して、上野発十月十五日、帰着二十七日ということで、生れてはじめて北海道にでかけた。その間にきっと初雪がある、との注意で冬仕度をしてでかけたら、あちらの人々はまだみんな合着で、札幌の街をマフラー姿で歩いた最初の人間が、私ということになった。だが初雪は、二十五日の夜全道にふった。
歯舞諸島のユリ島付近でB29がソ連戦闘機に撃墜される事件が起きたのは十月七日のことだが、私が札幌について二日目の十七日には、歯舞諸島は日本領土であるという米国務省の対ソ抗議覚書が発表された。根室沖が「危険地帯」の発火点になるための外交辞令はととのった形である。二十日私は旭川にいた。その前の日だったろうか、米軍ジェット機が旭川付近のどこかしらで墜落して、それを捜索するための小型機が旧練兵場から一日中飛びまわっているのを私は見た。学芸大学の裏手のアイヌ部落のまんなかに立ってその飛行機を見ているときに、旭川には水野成夫氏の国策パルプの工場があるが、ストライキなどはけっしておこらないしくみになっているときいたとたんに私はおかしさがこみあげてきた。