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あたまでっかち
あたまでっかち
下村 千秋
「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页
林太郎は、
「しろ公、ばか。」
「しろ公、げんこつくわせるぞ。」
「しろ公、おとなしく歩かねえと、おっかさんのとこへつれてってやらねえぞ。」
などと、しょっちゅうどなりつけながら歩いていました。
そのうちに、きらきら光っていた霞ガ浦がだんだんうすむらさきに煙ってきました。丘の上でなきしきっていたせみの声もいつしかしずまり、かなかなのこえだけ、小さなかねをたたくように聞えて、あたりは夕もやにつつまれてきました。気がついてみると、あんなにさわぎまわっていたしろ公も、林太郎の足元にすりつくようにして、とぼとぼと歩いています。
林太郎はきゅうに心細くなりました。
「もう、どのくらい歩いたろうな。土浦はまだかしら。」
そう思ってゆくてをみると、白い道が夕もやの中へきえて、その先の空には二つ三つ、黄ろい星が光りだしているばかり。ときどきすれちがう人もなんだか気味が悪く、うしろからだしぬけに自転車が走りぬけたりすると林太郎はぎょっとしました。そこで林太郎は、こんどはやさしい声でしろ公へ話しかけました。
「しろ公、くたびれたかい。」
「しろ公、おなかがすいたかい。」
「しろ公、おっかさんのとこへいったら、うんとうまいものをくわしてやるよ。