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あのよからたよりをするはなし
あの世から便りをする話
海野 十三
――座談会から――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,493 字 · 9 页
友達は私を詰問って言うことに、君も細君を亡くしているくせに、何という細君不孝だ。是非共細君を呼んで死んでるという自覚を起さしたり、その他いろいろやってやらないと、死んだ細君は浮ばれないぞ、と叱るのです。
その中に友達は遂に自殺をしました。早速私共も行きましたが、千葉の勝浦の権現堂のある山の頂上で死んでいました。其処は死んだ細君と知合になった当時、能く両人が散歩した所だそうで、而も死んだのは、彼のみならず、夫婦の間に出来た、たった一人の子供も殺して死んだ。
さてその死後、友達の遺書というのが、私ともう一人の矢張り科学者の友達に遺されていました。その遺書で彼の死んだ事情が最もハッキリして居るのですが、「皆私を引止めて呉れたけれども、自分は科学者として死を選ぶのが一番善いと思ったんで死ぬ。あの世で大いに科学のために奮闘して、心霊科学も研究し、君達に呼びかけるから、君達も何なら早く来たらどうか」こういう事が書いてありました。
私共非常に呆然としまして、科学的に最も尊敬すべき友達が、科学的に心霊というものを信じて死んだ。これは私共頭が悪いから、彼からいくら説明されても、矢張りあの世の在るということが分らないのだろう。