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あるおんせんのゆらい

ある温泉の由来

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,655 字 · 30 页

青空文庫

以来二十年、中島君と僕は温泉組合を牛耳っている。湯が豊富だし、○○町が交通の要路に当っているから、荒神温泉はドン/\発展して、日本中に名が高い。僕のところが元湯だ。昔から荒神風呂の称があったのをそのまゝに使っている。矢っ張り荒神風呂の小池だ。今回組合のものが僕達の功労を認めて、川端の遊園地に銅像を立てる。僕は中島君と相談して注文をつけた。温泉宿の亭主の胸像は僭越の沙汰だから、二人の子供が亀の子を持って話しているところにして貰う。亀の冬越しから温泉を思いついたことは温泉煎餅に詳しく書いてある。さて、東西引佐の仲は何うなったかというと、もう村がない。○○町が市になって、併合されてしまった。衣食足って礼節を知る。日本中を相手にして浴客からフンダンに絞るから、近所同志は一向争わないようだ。

(昭和十一年十二月、講談倶楽部)