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いなか、の、じけん
いなか、の、じけん
夢野 久作
「探偵趣味」「猟奇」1927(昭和2)年7月~1930(昭和5)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,535 字 · 78 页
しかし、それでも唾を飲み込んでみると、痛いのは相変らず痛いというので、思い切って今一度診てもらいたいと云い出した。遠藤博士も苦笑しいしい、今一度食道鏡を突込んだ。
こうして、三度までくり返したけれども、骨は依然として見付からない。しかし痛い処はやはり痛いというので、流石の遠藤博士も持て余したらしく、懇意なX光線の専門家に紹介してやるから、そこで探してもらったらよかろう……と云って名刺を一枚渡した。
X光線によって照し出された鯛の骨の在所を、正面と、横からと、二枚の図に写してもらった松浦先生は、又も遠藤博士の処に引返して来たが、博士はたった今急患を往診に出かけたというので、今度は町外れに在る大学の耳鼻科に駈け込んだ。
そこには若い医員が一パイに並んで診察をしていたが、その中の一人が、松浦先生の話をきくと、X光線の図には一瞥だも与えないで冷笑した。
「……馬鹿な……そんな小さな骨がX光線に感じた例はまだ聞きません。こちらへお出でなさい。とにかく診てあげますから」
といううちに松浦先生を別室に連れて行って、又も奇妙な、恐ろしい形の椅子に腰をかけさせた。