轻松读懂日语经典作品
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
松山隆二は暫く考えていて、「そういう意味では」と静かに云った、「ブラジルへいっても同じことじゃあないでしょうか、はっきりしたことは云えませんけれど、戦争で死ぬより疾病で死ぬ人数のほうが多いそうですし、もしも水素爆弾がぼかぼか落されるようなことになるとしたら、ブラジルへいっても、南極、北極へいっても同じことだと思いますがね」
「おそらくそうだろう、地球そのものが太陽みたようになっちまうというんだから」と竹中も慎重に云った、「けれども、こんなせせっこましい日本より、人間より牛のほうが多いという、広い土地で、死ぬなら死にたいと思うんだ、広い青空と草のあるところでね、そうは思いませんか」
「わかりませんね」と隆二は答えた、「日本がせせっこましいことはわかりますが、水爆が投じられたとすると、広い狭いはないんじゃないか、と思いますがね」
「きみは――」と竹中が反問した、「空襲にあったことがありますか」
「くにが福井県の漁師町ですから」
「というと、どの辺ですか」
「敦賀湾から北へ二十キロ近くいった、干飯崎というところです」と隆二は答えた、「漁港としてはかなり大きな町ですけれど」