轻松读懂日语经典作品
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
――少女とは思えないゆたかな太腿も、当人はべつに恥ずかしさも感じないらしく、ゆたかな両腿を水だらけにし、冷たい水をはね返しながら、ついに一尾の大きな魚を掴みあげて、歓声をあげた。
「これなんの魚かしら」りつ子は三十センチあまりの、ぴちぴちはねる魚を持って、川からあがって来た、「――あら、やっぱりそうだわ、これ岩魚よ」
「いまじぶん岩魚がいるのかい」
「岩の下で休んでるの、涸沢でも幾たびか捕ったことがあるわ」
隆二はりつ子の太腿から、眩しそうに眼をそらした。
「岩魚は夏のものじゃあないのか」
「冬のあいだは休んでるのよ、だから、岩の下をさぐると捉まえやすいの、その代りいまは痩せていておいしくはないのよ」
火をもっと強くしよう、と隆二が云い、りつ子はまた川の中でばしゃばしゃ始めた。そしてたちまち、七尾の魚を掴みあげた。岩魚もあり鮠も山女もあった。みな九センチ以上の大きさで、河原に投げあげられると、それらは勢いよくはねながら、水苔の匂いをあたりにふりまくようであった。
隆二は枯れた木や枝を集めて来、焚火にくべながら――まだ川にはこれほど魚がいるんだ、自然はまだ生きている。