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おさらいちょう
おさらい帳
小川 未明
「教育・国語教育 5巻11号」1935(昭和10)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,731 字 · 4 页
この夏のことでした。正ちゃんは毎日のようにもち棒を持って、お宮のけいだいへ、せみとりに出かけました。そのけいだいは、木立がたくさんあって、すずしい風が吹いていました。そして、雨のふる音のように、ジイジイせみがないていました。また、あぶらぜみがなき、午後からはひぐらしがないたのでありました。正ちゃんは日にやけた黒い顔をして、ごはんを食べるのも忘れて、あそびにむちゅうの日が多かったのです。
だから、晩がたは疲れてお家へかえり、お湯にはいると、すぐにいねむりをしてしまいました。
「そう毎日あそんでばかりいていいのですか?」と、お母さんがしんぱいをしておっしゃいました。
すると、そばからお父さんが、
「いや、どこへも避暑にいかなかったのだから、休みのあいだだけじゅうぶんにあそばしてやればいい。」と、いわれたのです。
正ちゃんは、お父さんの言葉がどんなにうれしかったかしれません。自分は、どこへもいきたいとは思いませんでした。ただ、あのお宮のけいだいで、年ちゃんや吉雄さんたちと仲よくあそんでいることができれば、それがなによりもたのしいことだと思いました。
「ねえ、お父さん。